ヒダマルのラノベ講座。

ヒダマルが考える、ライトノベルの作り方。来たれ小説書き。

絶対に避けるべき冒頭とは? 設定羅列のデメリット。


 小説に「絶対」はありません。

 日本語と原稿用紙のルールさえ守っておけば、好きなように表現すればいいのです。あなたが書く小説は、本来あなただけの小説ですから。


 しかし仮に、「誰かに読んでほしい」という欲求があるのなら……。

 この記事では、初心者が陥りがちな「冒頭の設定羅列」のデメリットを解説します。

 

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世界観・設定の羅列は「歴史の教科書」。

  聖ミカエル暦3972年、世界は混沌の渦に包まれていた。

 ゴルドベルグ帝国第78代帝王、モンドール・マ・バルジニア・ゴルドベルグ5世の乱心により、全世界を相手取った大戦の火蓋が落とされたのである。

 諸公国の善戦空しく、北の大地・ラクラリエルは帝国の支配地域と化していた。
 

 時を遡ること十四年、東の大地を司るドートセイル共和国の辺境タマハ村にて、剣聖ナサニエルの生まれ変わりと噂される赤子レイル・マーズワークが産声を上げていた。

 

たくましい少年に育ったレイルは妥当ゴルドベルグ帝国を志すも、そのためには聖剣グングニールを手に入れる必要があり……

 

 

 

 

 ……なんて説明が冒頭から延々と続いている小説をたまに見かけますが、これは典型的な悪手です。絶対に避けましょう。

 なぜなら、読者は「小説」を読みたいのであって、「歴史の教科書」を読みたいのではないためです。
 これならむしろ、実際の教科書の方がいくらか面白いかもしれません。

 

 このような失敗の原因は、おそらく「読者が物語に入り込みやすいように、前提となる知識や世界観を説明しよう」という考えがあるためだと思われます。

 しかし、そこまで膨大な前提知識がなければ楽しめない小説というのは考えものです。
 小説の1ページ目で「モンドール・マ・バルジニア・ゴルドベルグ5世」の暗記を強要されれば、誰だってゲンナリするでしょう。

 

 仮に広大な世界観や設定を読者に伝えたいのなら、会話の中で自然に解説したり、ストーリーが進むにつれて小出しにしたりするなどの工夫が必要です。

 

 

反論その1 『スター・ウォーズ』を知らないのか!

 確かに、言わずと知れたSF映画『スター・ウォーズ』では、冒頭の音楽と共にこういった説明文が流れます。

 しかし、あれは壮大な映像や音楽といった演出と相まっているからこそ許される表現方法であって、媒体が文字だけの小説で同じことはできません。

 

 その『スター・ウォーズ』だって、開始から何分間もあの調子で説明文を流していれば、これだけの大人気シリーズにはならなかったでしょう。

 映画やゲームであればこそ可能な導入なので、同じイメージで小説に取り組むのはやめましょう。読者に不親切です。


 上記の例文はこれでもかなりマイルドに書きましたが、もっとくどい冒頭の小説を探せばいくらでもあります。
 面白い小説を読みたくて本(エディター)を開いた読者は、この冒頭でどんな気持ちになるか、立ち止まってよくよく考えましょう。

 

 

反論その2 『指輪物語』だって同じじゃないか!

 トールキンの古典ファンタジー『指輪物語』の冒頭では、主人公のホビット族に関する説明が30ページにも渡って記されています。
 この記事で述べている悪手の典型のひとつでありながら、大人気作品ですね。

 しかし、想像してください。


『指輪物語』の初版は1954年です。

 かたや、現代は2019年です。


 活字を追うよりも遥かに少ない労力で刺激を与えてくれるエンタメコンテンツがそこらじゅうに溢れかえっている現代日本で、あなたは「小説」を書こうとしているのです。
 この点を忘れてはいけません。

 

 冒頭で「面白くなさそうだ」と思われれば、読者はすぐさま本を閉じ、スマホでYouTubeを観始めることでしょう。

 既に古典である『指輪物語』だからこそ「面白いに違いない」という姿勢で読んでくれるのであって、これからデビューしようという人間の作品に同じ意気込みを期待するのは酷であり、怠慢です。

 

 まして、素人のうちはなおさら。

 読者にとって、ネットに溢れている小説なんて、どこの誰とも知れない人間が書いた玉石混交の作品群でしかありません(本屋さんだってあるいは)。

 その中から、運よくあなたの作品を見つけてくれたのです。貴重な時間を割いて、読もうとしてくれているのです。
 そんなありがたい読者様に、作者ができることは……、


 冒頭から極上の「面白さ」を提供する。


 これが、読者への誠意です。

 作家が全力で工夫すべき、読者への責務です。

 

 

まとめ。

結論:冒頭の設定羅列は最大の悪手である。


 作者からすれば手っ取り早い手段であり、初心者は陥りがちなミスです。

 読んでくれる読者のことを想像して、冒頭から全力の面白さが提供できるよう意識してみましょう。