ヒダマルのラノベ講座。

ヒダマルが考える、ライトノベルの作り方。来たれ小説書き。

異世界系はなぜ面白い? 読者と作者、双方の立場から考察。


 国内最大規模の小説投稿サイト「小説家になろう」には、数多くの異世界系作品が投稿されています。

 これら異世界系作品群に共通するのは、「主人公が現実世界から転生して、別の世界で活躍する」という点。

 書籍化・アニメ化される作品も多く、その存在は既に「学園もの」「探偵もの」「異能力バトル」等と同じく一つの潮流と化している感覚があります。

 

 異世界系作品はなぜ隆盛を極めているのか、簡単に考察してみましょう。

 

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書きやすく読みやすい。

 例えば、空から舞い降りた巨大ドラゴンに対し「10階建てマンションのような巨躯」という描写をするとして……、

「異世界系」が登場する前の本格ファンタジー作品であれば、一発で落第です。
 なぜか?

 ファンタジー世界には、10階建てマンションなんて存在しないからです。


 単純に置換すると「〇〇王家の宮殿のような巨躯」のような比喩表現が考えられます。
 しかしこの描写を読者へ伝えるためには、先に「〇〇王家の宮殿」についての情報を開示しておかなければなりません。

 ハイファンタジー作品には、このようなタブーが常に介在する「書きにくさ」が付いて回るのです。

 

 

 その点、「異世界系」なら何の問題もありません。

 主人公は元々現実世界の人間なので、「10階建てマンション」の大きさを理解しているためです。

 すべての現象に対して現実世界と比較した表現が許されるので、作者にとっては非常に書きやすく、また読者も想像しやすい訳ですね。

 物語の冒頭で、主人公がわざわざ「現実世界→異世界」へと転生しているのは単なる様式美ではなく、こういった理由があるのです。

 

 

無茶な設定・展開でも説得力がある。

 何の特技もないキャラクターは、物語の主人公として力不足です。
 一方で強すぎるキャラクターは、現実世界に生きる読者にとって大きな距離があるため、共感を得にくいデメリットがあります。

 二つの問題を解決するのが、「異世界系」です。


 異世界系作品においては、どこにでもいる普通の少年であっても、誰よりも強い主人公になれるのです。
 これは、「異世界へ行ったから」という理由があれば非現実的な特殊能力をいくら付与しても認められる「お約束」が存在するため。


 通常なら、普通の少年が強くなるためにはそれなりの努力(というより、説得力)が必要とされますが、異世界系はその問題を軽々と飛び越えて「強い自分」を手に入れることが許されているのです。

 この点は、読者に爽快感を与えるための大きなメリットと言えるでしょう。

 

 

これからの狙い目は?

 これからも隆盛を続けるであろう「異世界系作品」。テンプレートが存在するので初心者が参入しやすいジャンルです。

 

 とは言っても、他人と同じような設定の小説を書いても人気作は生まれません。

 既に多くの先行作品があるため、食傷気味な感が否めないのもマイナスポイントです。

 

 異世界系の面白さ・お約束を守りつつ、他作品と一線を画すような設定はどんなものが考えられるでしょうか。

 ヒダマルの案を少々お伝えします。

 

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「転生者以外が主人公」

 既に存在するかもしれませんが、間違いなく目立つでしょう。
 例えば、『この素晴らしい世界に祝福を!』の女神・アクアの立ち位置を主人公に与えてしまうのです。

「異世界転生の斡旋業」、「異世界にやってきた勇者候補を育て上げる」、「「異世界の歩き方」チュートリアル担当」など、色々な役割が考えられます。

 既に存在する「異世界系」から派生した、一つのカテゴリーを生み出す可能性すらある設定です。

 

「異世界から現実世界への転生」

 ファンタジックな世界で生きてきた勇者や賢者が現代日本にやってくれば、どんな反応を見せるでしょう。想像するだけで面白いです。

 このパターンは電撃文庫の有名小説『はたらく魔王さま!』で取り上げられて以来、ヒット作はないように感じます。


 ただ、通常のパターンに比べると地味なストーリーになりそうなので、その点は読者を飽きさせない工夫が必要です。
 王道を外しつつ、要所要所では「これぞ異世界系」という展開を用意した方がいいでしょう。


 個人的には、長きに渡る異世界生活から帰還した『異世界おじさん』という作品が気になっています。

 

 

まとめ。

結論:異世界系は初心者に優しいが、工夫は必要。


 読者と作者、双方にとって負担が少ないため、初心者に優しいシステムが構築されていると言えます。特にネット上では、その方向性が顕著です。

「初めて小説を書きたいけど、なにを書けばいいか分からない」という方は、とりあえず異世界系に目を向けてみるのもいいかもしれません。