以前、「物語の解決方法」として三つの考え方を例に挙げました。
これらはもちろん「主人公サイドから見た解決方法」で、悪役にとっては都合の悪い展開です。
悪役には悪役の目的・理念がありますから、そう簡単にやられるわけには参りません。あの手この手で、主人公たちへの障害を用意してくるでしょう。
それこそ、「三つの解決方法」を駆使して対抗してくる可能性もあります。
……そんなとき、悪役の身には何が起こるのでしょうか?
能ある鷹にも牙はない。
我ながら的を射た言葉だと思います。
秘められた力を解放させることで問題を解決に導く主人公は「能ある鷹は爪を隠す」のパターンで考えられますが、悪役の場合は逆。
ものすごく強力な能力を持ち、とんでもなく強大な破壊力があったとしても、創作において悪は必ず負けます。
その時、敗北の理由として考えられるのが、この「能ある鷹にも牙はない」です。
どこからどう見ても勝てる見込みのない敵と戦う際、役に立つ考え方です。「色んなことが出来るんだけど、肝心な部分に弱点があったから、そこを突かれて負ける」という流れですね。
例を挙げると、『とある魔術の禁書目録』三巻の一方通行は正にこのケースで敗北しました。
主人公が障害を乗り越える方法論は、逆に考えると、悪役が敗北する理由にも繋がるのです。
よくばり爺さん。
こちらは、「笠地蔵」の転用。
主人公サイドの問題解決だと「事件と直接の関係がない行動こそが、主人公を助ける結果に繋がる」というケースです。『SAO』の四巻で、他種族の妖精たちがキリトを助けてくれたパターンがこれに該当します。
悪役は、その逆。
「事件と直接の関係がない行動が回りまわって、悪役キャラの首を絞める」ですね。日頃の行いのせいで身を亡ぼす、といったところで、展開としては正に「昔話のよくばり爺さん」です。
「とある強力キャラを騙して働かせていたが、主人公が彼を聡し、仲間に加えてしまった」
「魔王が長年虐げてきた種族は門外不出の秘宝を隠し持っていた。しかし、魔王討伐を目指す勇者へ特別に受け渡すことを決める」
など、悪役が悪いことをしていたからこそ、罰が当たるような形で形勢が変わります。メインストーリーと直接の関連がない(と見せかけていた)部分が、実は大きな鍵を握っていた展開です。熱い。
まとめ。
結論:「解決方法」は、悪役が負ける理由にも転用できる。
「三枚のお札」だけは難しいというか、まだ消化できていません。
悪役が試行錯誤して戦うのだって戦闘の基本ですし、この要素に限っては真っ向勝負になりそうなところです。
いずれ、バトルで使える法則も解説してみます。