ヒダマルのラノベ講座。

ヒダマルが考える、ライトノベルの作り方。来たれ小説書き。

「この主人公(物語)に、今すぐ注目しなければならない理由」を与えよう! 【冒頭論】

 

 ここのところ、【冒頭論】と題し物語序盤に気を付けるべきポイントに言及しています。一口に「冒頭」と言っても意味が広いんですが、それはまぁ置いておいて。

 

 今回は、冒頭中の冒頭です。1ページ目、あるいは1行目の話です。「1行目から仕掛けていこう」といった内容は度々取り上げていますが、+αです。

 ずばり、物語冒頭では、「この主人公(物語)に、今すぐ注目しなければならない理由」を与えましょう。

 

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ゆったり構えている暇はない。

 朝。目覚ましに起こされ、目をこすりながら布団を出る。昨夜は友人の相談に付き合っていて夜更かししていたのだ。階下に降りると、トーストの良い匂いが漂ってきた。たまにはご飯を食べたいが、我が家のルールは母が牛耳っているので無駄な努力はとうの昔に諦めている。

 友人の声を思い出す。人気のゲームが二本発売されたのでどっちを買うか悩んでいるというしょうもない話だった。バイトを増やせばいいと指摘すれば、今度は牛丼屋かハンバーガー屋かで迷い始めたせいでこの寝不足だ。学校で会ったらただじゃおかない。

 体育はバスケだったのでコテンパンにのしてやるぜと意気込んだが寝不足の身体ではそれも無理だった。まぁ寝不足なのはアイツも同様で、二人ともゾンビのような動きでチームのお荷物になっていた。

 待ちに待った昼休み、

 

 ……いつになったら事件が起こるんじゃぁ!!

 

 こういう展開は、とてももったいないです。そして、読者に不親切です。

 これでは何に注目すればいいのか皆目わかりません。見当がつきません。「友人と話してたっていう、ゲーム? が、後々ポイントになるの?」「バイト先で事件が起こるってこと?」などと意識が分散してしまいます。

 おそらくはタイトルやあらすじで大体の方向性は伝えられているとは思いますが、同じことです。「手に汗握る熱いバトル!」と書かれているなら早くその手に汗握る熱いバトルを読ませてくれと感じるでしょう。

 

 地の文やキャラに魅力があればまだ救いがありますが、展開同様淡々としたものであれば危険です。

 この例ではおそらく、放課後になっていよいよ話が動いてきそうです。本筋に入るのは更に後。読者がそれまで我慢してくれるか否かは、かなり分の悪い賭けです。

 

 であるならば、悪いことは言いません、放課後からスタートしましょう。応急処置ですが、それだけでも大きく違ってきます。

 導入が淡々としていることに気付いたら、「この物語の冒頭は、本当にこの始まり方でなければいけないのか?」「もっと楽しませる導入方法はないだろうか?」を考えましょう。

 

 

危機に陥っているものはなに?

 話が動き、物語が本筋に入ってくるからといって、「この主人公(物語)に今すぐ注目しなければならない理由」を与えられるとは限りません。話が動いている・進んでいるように見えて、なぜか求心力に欠ける小説もあります。

 その理由の多くは、「危機に陥っているものは何か」が分からないためです。

 

 主人公が直面している問題はなんでしょう?

 会社をクビになった? 娘が誘拐された? 親から虐げられている? これから面接なのに腹痛? モンスターに追われている? 魔女裁判にかけられている? テスト勉強をしてない? 聖剣が抜けない? 一時間後に溶け出す毒カプセルを飲ませれた? 拘束されて身動きがとれない? プライドが折られそう? クリスマスまでにどうしても彼女がほしい? 背中にナイフが刺さっている? カレーを作ったけどご飯を炊き忘れた? 告白したらぶん殴られた?

 

 物語に応じた「危機」を設計しましょう。

 ラブコメ作品で「背中にナイフが刺さってる」は無理がありますし、現代もので「聖剣が抜けない」も同様です。もちろん、その問題が物語に大きく関わってくるのなら別ですし、むしろ面白そうですが。

 

 

まとめ。

結論:冒頭では、「この主人公(物語)に、今すぐ注目しなければならない理由」を与えよう。

 

 なんでもない日常風景からスタートするのは、非常に難易度が高いと言えます。わざわざ茨の道へ進む必要はありません。

 速やかに読ませどころに入り、物語に沿った危機を設計することで、「で、何が問題なの?」と言われないような冒頭を目指しましょう。

 

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