小説を書いていると、ある問題に突き当たることがままあります。「ぜんぶ、どこかで聞いたような言い回しだ……」現象です。主に地の文でしょうか。
小説になってはいるけれど、もっと個性を出したい、この小説でしか読めないユーモアがほしい、そんなときに役立つかもしれない工夫をご紹介します。
「苦虫を噛み潰したような」
使われがちな表現の筆頭ではないでしょうか。「苦虫」がなにか知らずに使っている方も多いと思います。ヒダマルもそうです。
辞書を引くに「非常に不愉快そうな顔」を表す言葉ですが、便利なので使われがちです。「手垢のついた表現」というやつで、これをそのまま書くと「どこかで見たことある……」になってしまうんですね。
対策としては、「ちょっと変えてみる」です。
例えば「苦虫を口に含んだような顔」と言い換えることで、「非常に不愉快そうな顔の一歩手前」を表現できます。
別の表現と混ぜて「喉元過ぎれば苦虫忘れる」「飲み込んでねぇよ」などのやりとりにもできそうです。
言葉そのものを言い換えないとしても、「彼はいつも苦虫を噛み潰したような顔をしているが昆虫食の趣味があるのだろうか」などともうひと捻り加えることで、独特な表現を実現できます。
ちょっとだけ変えてみる。
そのまま使うのではなく、ちょっと変えてみることでユーモアを出せる言葉はたくさんあります。
「馬の耳に念仏」→「馬の耳に東風」
「運命の女神が微笑む」→「運命の女神が大爆笑」
「死んだ魚のような目」→「死んだ魚の目に映ったビー玉のような目」
「真実はいつもひとつ」→「真実はいつもひとつだけど現実は人それぞれ」
「〇〇と××を足して二で割ったような人」→「〇〇と××を足して二で掛けたような人」
などなど。
(ここに出した例はヒダマルが使用済みです)
「君の瞳に映った僕に乾杯」と言ったキャラは誰だったか……。ひと工夫の最高峰だと思います。
まとめ。
結論:ちょっとだけ変えることで、独自の表現を作ろう。
よく使われる表現だからといって、使用禁止なわけではありません。そのまま使っても何も問題ありません。ただ、もうちょっと気の利いたことを言いたいときは、独自の視点を加えてみると面白くなりそうです。